修繕積立金の相場が知りたい!マンション購入前にチェック

修繕積立金の相場が知りたい!マンション購入前にチェック

マンションを購入すると、住宅ローン以外にも、毎月管理費や修繕積立金の支払いが必要です。管理費はマンションの日常管理に使われますが、修繕積立金は10~15年周期で行う大規模修繕のために積み立てる費用です。管理費、修繕積立金については、マンションによって金額が大きく異なります。
修繕積立金は、新築時は低めに設定して段階的に値上げをする「段階増額積立方式」を採用しているマンションが多いです。それでも不足する場合はさらなる値上げや修繕積立一時金を徴収されるケースもあります。修繕積立金が極端に上がると日々の生活にも大きな影響が出ることになるので、相場との比較も含め、購入時にはきちんと確認することが重要です。今回は、修繕積立金の概要と相場を中心に解説します。

そもそも修繕積立金とは

マンションでは、10年から15年周期で外壁や給水管、屋上防水工事などの大規模修繕工事を行います。大規模修繕工事の費用はマンションによって異なりますが、数千万~数億円かかります。これだけの大きな資金はすぐに集めることができないため、大規模修繕の実施に向けて毎月積み立てておくのが「修繕積立金」です。
マンション購入者の修繕積立金に対する知識不足や、修繕積立金自体が不足して大規模修繕ができないといった問題を抱えているマンションが多いこともあり、2008年に国土交通省が長期修繕計画の策定方法などを定めたガイドラインを策定しています。これにより修繕積立金を適正に徴収するマンションが増えました。
マンションでは、毎月修繕積立金の他に、管理費も徴収されます。管理費は、日常の清掃や植栽・電球交換や管理人の給料など共用部の維持のために日々かかる費用を賄うために徴収する費用です。管理費は、マンションの状態を維持するための費用、修繕積立金は大規模修繕のための費用と区別して認識しておくと良いでしょう。

修繕積立金の相場

マンションの修繕積立金の現在の相場と、これまでの金額推移を解説します。国土交通省が平成30年にマンションの管理組合に調査を行った「平成30年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状」の調査によると、1戸当たりのマンション修繕積立金の平均は月額11,243円です。平成27年以降の修繕積立金が極端に安くなっているのは、新築当初はマンションを購入しやすくするように修繕積立金の金額を抑えているためです。このように、マンションの修繕積立金は、築年代別によって差があります。ご自身のマンションの築年数に合わせて確認してください。

完成年次と月戸当たり修繕積立金の額
全体平均11,243円
昭和44年以前26,356円
~昭和49年9,903円
~昭和54年12,052円
~昭和59年11,077円
~平成元年11,400円
~平成6年11,413円
~平成11年12,024円
~平成16年11,227円
~平成21年11,865円
~平成26年9,244円
平成27年以降6,654円

修繕積立金が高くなるケース

次はマンションの修繕積立金が高くなるケースについて解説します。

初期設定の金額が低い

大規模修繕に合わせて、修繕費を積み立てる方法としては大きく2つ、初期に費用を抑えて段階的に値上げをする「段階増額積立方式」と、均等に積み立てる「均等積立方式」があります。新築当初は購入者が初期費用を抑えて購入しやすいように段階増額積立方式を採用しているケースが多く、そうすると将来的には修繕積立金が高くなる傾向にあります。

大規模修繕工事の見積もりが低い

マンションでは、過去の事例などを元に長期修繕計画を作成して修繕積立金の金額などを決めます。しかし、自主管理のマンションや経験の少ない管理会社の場合、大規模修繕工事の見積もりを低く設定してしまうケースが多いです。見積もりを低く設定してしまうと、実際に大規模修繕の時期になって、工事費用の不足が発覚し、修繕積立金の値上げや臨時徴収が必要になってしまうことがあります。

修繕費の相場が上昇した

2021年にはウッドショックなど新型コロナウイルスの影響で資材が入手できないケースも多く、工事やリフォームの費用が大幅に上昇しました。長期修繕計画を作成したときと現在とでは大きく費用が異なっているケースがあります。ギリギリで修繕積立金を設定しているマンションの場合は、大規模修繕の工事費用が不足する可能性が高いです。その場合も修繕積立金の値上げ、臨時徴収をされる可能性があります。

想定外の修繕があった

近年では、武蔵小杉(神奈川県川崎市)のタワーマンションが台風で浸水した例などがありますが、台風や地震などの災害で想定外の修繕が必要になることもあります。修繕積立金は、大規模修繕工事を想定して集められているため、想定外の修繕があった場合はその資金を捻出するために修繕積立金の値上げを余儀なくされるケースがあります。

修繕積立金が安くなるケース

修繕積立金は後から高くなるケースが多いですが、状況によっては安くなるケースもあります。安く設定されていて後から足りないとなると困りますが、外部からの収入や戸数が多いと、反対に修繕積立金を安くできることもあります。

駐車場や自動販売機がある

マンションによっては、入居者以外に駐車場を貸している場合や、自動販売機を設置しているケースもあります。こういった外部からの収入を修繕積立金に充当することで、修繕積立金を低く抑えているマンションもあります。

機械式駐車場がない

平成7年以降に建設されたマンションの60%近くが機械式駐車場を採用しています。敷地の狭いマンションの場合は、機械式駐車場にすることで住戸数に対する駐車場数を確保できるので有効な方法といえます。しかし、大規模修繕で一番費用がかかるのがこの機械式駐車場なのです。機械式駐車場の耐用年数は25~30年ですが、修繕費用は1パレット(1台分)200万円程度なので30パレットあれば6,000万円になります。そのため、機械式駐車場があるマンションよりも機械式駐車場がないマンションの方が修繕積立金は安いです。

戸数が多い

修繕積立金については、戸数の少ないマンションよりも戸数の多い大規模マンションの方が1住戸にかかる負担は少なくなります。エレベーターなどメンテナンスや交換時に費用がかかる設備だと、50戸に1台というのが基本的な割合になるので、それよりも少ない場合は割高です。ファミリーマンションの場合はエレベーター一台につき50戸以上の戸数がある方が良いでしょう。

中古マンションを購入するときの修繕積立金のチェックポイント

最後に、マンションを購入する際の修繕積立金について押さえておきたいポイントを解説します。

月々の金額

一番重要なのは、やはり月々の修繕積立金の金額です。安い方が良いですが、あまり安過ぎると将来的な値上げや、大規模修繕がなされるのかといった心配もあります。逆に高過ぎると毎月の支払いが増えるので家計には大きな負担になります。マンションを購入する場合は、毎月修繕積立金以外にも、管理費や住宅ローンの支払いがありますので、修繕積立金の金額は必ず確認しましょう。

現在の残高

中古マンションの場合は、現在の修繕積立金の残高をチェックすることが重要です。マンションによっては、長期修繕計画通りに修繕積立金を徴収できずに修繕積立金が不足しているケースもあります。そういったマンションは、今後修繕積立金の値上げや臨時徴収が予想されるので避けるべきです。中古マンションを購入する際には、長期修繕計画の予定通りに修繕積立金が集まっているかどうか確認しましょう。

過去の修繕実績と今後の修繕予測

築年数の古いマンションであれば、過去の修繕実績があります。修繕実績があれば、過去の修繕でどの程度費用がかかったかが分かるので、今後の修繕予測も立てやすく適正な修繕積立金の額になっていることが多いです。ただ、1回目の修繕に予想以上の金額がかかり修繕積立金が不足しているケースもあります。その場合は、今後修繕積立金が高くなったり、適正な修繕が行えないなどのリスクが考えられますので注意しましょう。

マンション購入時には、修繕積立金について確認を

マンションの修繕積立金は、住んでいる限りは毎月支払う費用になります。修繕積立金は、月々の金額だけでなく、現在の残高、将来的な値上げの計画などをきちんとチェックする必要があります。最近では長期修繕計画をきちんと立てているマンションも多く、不動産会社に確認すれば重要事項調査報告書や長期修繕計画の資料を入手することが可能です。
マンション選びの際には、立地や間取りに加えて、管理費や修繕積立金についても事前に確認するようにしましょう。

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