実家を処分するための賢い方法。費用や流れなどを解説

実家を処分するための賢い方法。費用や流れなどを解説

親が亡くなって実家を相続したけれど住まない場合、どう処分していいか分からずそのまま放置しておくと、破損や倒壊、最悪の場合火事などのトラブルが起こるリスクもあります。まだ相続しておらず、これから実家を相続する場合でも、その後の対応について知っておくだけで、相続人にかかる負担はまったく違ってきます。この記事では、実家を処分するための賢い方法、費用や流れについて解説します。

実家を処分することになったときの流れ

まずは、実家を処分することになったときの流れについて解説します。

  1. 相続の手続き
  2. 相続登記を行う
  3. 売却の準備
  4. 売却の依頼
  5. 契約、売却、引き渡し

実家の処分については、自宅を売却するのとは違い、まずは遺言書の有無の確認、相続についての話し合いを行って「遺産分割協議書」を作成する必要があります。その後、相続登記を行って名義変更をして初めて売却することができます。

売却にあたっては、遺品の整理・片づけ、仏壇の引っ越し、税金対策なども検討する必要があります。売却の準備ができればいくつかの不動産会社に査定をしてもらい、不動産会社を決めて売却を依頼します。購入者が見つかれば売買契約をして売却、引き渡しとなります。

実家を処分するのにもタイミングがある

相続の手続きに入る前に、売却のタイミングについても知っておきましょう。高く売却するには、売却しやすい時期、社会情勢や周辺の不動産価格の推移など、いくつかのポイントを押さえる必要があります。

売却しやすい時期

物件を高く売却できるタイミングは、一般的に引っ越しの繁忙期と言われる1月〜3月です。また、気候が良く、転勤なども多い9月〜11月も物件を売却するには良い時期と言えます。

社会情勢

消費税の増税後やコロナウイルス対策によって住宅ローン減税の改正があったように、税制や経済政策など、物件の売却や購入に有利な法改正が行われることがあります。そういった政策が実施されたタイミングで売却すると税制面で恩恵を受けることができます。また購入を検討していた人たちの購入意欲が高まり、より売却がしやすくなります。

住宅の価格の推移

国道交通省が発表している不動産価格指数によると、2010年を100とした場合に、土地に関してはそれほど大きくは上昇していません。それに対して、マンションは150を超える大幅な上昇を見せています。相続する実家がマンションであれば、エリアによってはかなり値上がりしている可能性があるため、売却するタイミングとしては良いでしょう。住宅の価格は、景気が悪くなると当然下がります。景気などの動向を見ることも重要です。

実家の処分にあたり、必要な手続き

実家を処分する際には、相続の手続きをし、名義変更や遺品整理・片づけなど売却するための準備が必要です。ここでは、実家を処分するにあたって必要な手続きについて解説します。

1.相続の手続き

相続前の実家は、勝手に売却することができません。実家を処分する前に、実家相続の手続きが必要です。
遺言書の有無で進め方が違うので、確認しましょう。

遺言書がある場合

遺言書の内容に従って、遺産分割協議書を作成します。遺言書がない場合よりも遺産を分割しやすいので、手続きはスムーズに進みます。
この時に、実家の売却などの処分について話し合いをしておくと売却しやすくなります。遺言書については、公正証書遺言として残すことが多いですが、自筆遺言でも特に問題はありません。ただ、自筆遺言の場合は、要件を満たしていないケースもあるので注意が必要です。

遺言書がない場合

遺言書がない場合は、民法に従って相続を行います。相続人については、配偶者とその他には順位があり、第1順位は子ども(直系卑属)、第2順位は親(直系尊属)、第3順位は兄弟姉妹となります。
順位によってもらえる割合は異なりますので確認しておきましょう。実家を含めて資産を相続する割合が決まれば、遺産分割協議書を作成します。

法定相続人と法定相続分
第1順位子ども(直系卑属)
2分の1
配偶者
2分の1
第2順位親(直系尊属)
3分の1
配偶者
3分の2
第3順位兄弟姉妹
4分の1
配偶者
4分の3
【法定相続の順位と法定相続人およびその相続分】

2.名義変更を行う

遺産分割協議書を作成したら、次はその内容に従って相続登記を行います。相続登記によって実家の名義を親から相続人へと変更します。これにより相続人の意思で実家を売却することが可能となります。

3.売却の準備

相続人同士で話し合いができ、実家を売却するとなれば売却のための準備が必要です。

・実家の遺品整理、室内の片づけ

売却準備と並行して行わなければならないのが、遺品整理と室内の片づけです。内覧するとなれば、やはりある程度は室内をきれいにしておく必要があります。遺品整理については、貴重品などは自分で整理し、大きな荷物などは業者に依頼すると良いでしょう。面倒な場合や荷物の量が多いときは、最初から業者に依頼しても問題はありません。

・仏壇やお墓の引っ越し

実家を処分することになれば、誰かが仏壇を引き継ぐことになります。お墓についても、遠方だとお墓参りが大変になるため、お墓の引っ越しをしなければならないケースもあります。
仏壇やお墓の引っ越しの際には、移動するために「魂抜き」「魂入れ」といった供養が必要です。最近では、お墓自体を畳んで合同供養墓や共同納骨堂などの永代供養墓に移すケースも増えています。実家を処分するタイミングは、仏壇やお墓をどうするかを検討するよい機会です。

4.税金対策

実家を売却するにあっては、親が購入した際の売買契約書や仲介手数料の領収書などの資料があると、売却益が出た場合に経費算入ができるので節税対策になります。
課税所得税は、実家の売却価格から取得費(購入価格)および譲渡費用を引いた額に基づいて計算されます。取得費がわかる資料や仲介手数料などの領収書などがない場合は、取得費は「概算取得費」として売却価格の5%分しか経費算入ができません。実家を処分して売却益が出そうな場合は、親が存命中に資料の有無を確認しておくのもよいでしょう。

不動産会社へ実家の売却を依頼する

実家を処分できる準備ができたら、売却手続きを進めます。一般的には、売却を行う不動産会社を決め、この不動産会社が不動産市場へ売りに出します。

1.不動産会社への依頼方法

売却する不動産会社を選ぶために、まずは査定依頼を行います。査定は、1社だと相場がつかめません。一括査定サイトなどを利用して、必ず複数社に依頼するようにしましょう。

2.売却の依頼

不動産会社からの査定をもとに相場を把握できたら、売却を依頼する不動産会社選びます。中には契約をしたいがために査定金額を高くする会社もあるので注意が必要です。売却価格だけでなく、売却実績や営業担当者の人柄や相性なども含めて選ぶようにしましょう。
不動産会社が決まれば媒介契約を結び、販売活動を行ってもらいます。媒介契約には、「一般媒介契約」、「専任媒介契約」、「専属専任媒介契約」があります。三者の違いは次の通りです。

契約の種類一般媒介契約専任媒介契約専属専任媒介契約
内容複数の不動産会社へ仲介の依頼できる特定の不動産会社一社にのみ依頼できる特定の不動産会社一社にのみ依頼できる
自己発見取引(知人など“つて”を使って自分で不動産の買主を見つけること)できるできるできない
販売活動の最低報告頻度報告義務なし14日に1回7日に1回
買取保証なしありあり
レインズ(不動産流通機構)への登録義務なしありあり
売却までにかかる時間長い短い短い
【媒介契約違い】

3.契約、売却、引き渡し

不動産会社はインターネットや店頭などに広告を出し、物件をアピールします。購入検討者が希望すれば、内覧に対応する必要があります。購入者が決まれば、いよいよ売買契約です。売買契約を行った後は、購入者のローン審査などの期間を経て売却、引き渡しとなります。

実家が売れなくて困った場合、買取という方法も

実家の物件がなかなか売れない、早く処分して現金化したいといった場合は、買取を検討するのも良いでしょう。
買取は、不動産会社に物件を購入してもらう方法です。買取のメリットは、不動産会社が購入してくれるため、査定金額=売却価格となり、早期に売却して現金化できる点です。他にも、契約不適合責任が免責になる、などのメリットがあります。
デメリットは、売却価格が安くなる点です。不動産会社は、購入した物件に対してリフォーム・リノベーションなどを行い、転売して利益を出す必要があるため、相場よりも価格が2〜3割ほど低くなります。状況に応じて、仲介だけでなく、買取を選択肢に入れるのもいいでしょう。

全体の流れを理解しよう

実際に実家を処分することになっても、全体の流れを理解しておけば、慌てることはありません。まずはきちんと遺産分割協議を行って名義変更し、売却できる状態にすることが重要です。
売却については、不動産会社と媒介契約を結んで販売することになりますが、状況によっては買取を検討するのも良いでしょう。売却する時期や社会情勢なども見ながら、実家を高く売却できるタイミングを逃さないようにしてくださいね。

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