専業主婦が不動産を売却すると健康保険料は必ず上がる?

専業主婦が所有している不動産を売却する際に気になるのが税金や健康保険や厚生年金などの社会保険料が値上がり。専業主婦は、配偶者控除や健康保険の扶養を受けているケースが多く、不動産を売却して利益が出てしまうと、配偶者控除を受けられない、社会保険によっては料金が上がってしまうこともあります。
不動産を売却して利益が出ても、配偶者控除がなくなる、社会保険料が上がることで利益が減ってしまいます。この記事では、専業主婦が不動産を売却して利益が出た場合に特に影響の大きい会保険料への影響について解説します。

不動産売却で社会保険料にどう影響する?

専業主婦の不動産売却で社会保険にどのような影響が出るのか、健康保険、厚生年金、介護保険、雇用保険など、それぞれの項目の影響の有無について紹介します。

健康保険

健康保険には、国民健康保険、健康保険、共済の3つがあります。
専業主婦が不動産を売却して利益が出た場合の影響をそれぞれ確認していきましょう。

国民健康保険

国民健康保険に加入している場合は、扶養という概念がなく、それぞれの収入によって保険料が計算される仕組みです。
そのため、国民健康保険だと不動産の売却によって一時的に所得が増えてしまうと翌年の保険料が上がります。
ただし、国民健康保険は各自治体によって保険料の限度額が設けられています(東京都の場合、限度額は62万円)。

健康保険

健康保険には中小企業が加入する協会けんぽ、大手企業が加入する組合健保の2種類があります。
まず、協会けんぽの場合、不動産収入が合っても扶養から外れることはなく、保険料は変わりません。
協会けんぼでは、扶養の対象者は「年間収入が130万円未満」で、さらに「被保険者の年間収入の2分の1未満」といった条件がありますが、継続的な収入のみを対象としていて、一時的な収入は対象外となるからです。
組合健保も基本的には同じですが、一時的な収入を継続的な所得に含めるところもあるかもしれませんので、在籍する会社に確認してみてください。

共済

公務員が加入しているのが共済保険です。
健康保険と同様に不動産などの一時所得は収入として扱いませんので、不動産を売却したことで扶養から外れ、保険料が変わるといったことはありません。

厚生年金

厚生年金は、会社員を対象とした公的年金です。
厚生年金の保険料は標準報酬月額が基準となるので、扶養の範囲内であれば不動産の売却益が出ても掛け金が上がることはありませんが、扶養を外れると国民年金になるので別途掛け金を支払う必要があります。

介護保険

介護保険には、40歳〜64歳が支払うものと65歳以上が支払う2種類の保険料があります。
40歳〜64歳に対する介護保険料については、毎月の保険料の支払いと一緒に徴収され、65歳以上については、年金から徴収されます。
そのため、40歳〜64歳までは健康保険、国民健康保険の仕組みと同じになります。
65歳以上の方は不動産を売却した翌年の保険料が上がる可能性があります。

雇用保険

雇用保険では、失業した際の失業保険、育児休業給付、介護休業給付、職業訓練給付などが行われています。会社と給与所得者がそれぞれ一定の割合で支払いを行っており、給与所得の増減によって支払う金額が変わります。しかし、雇用保険については、給与所得者であるご主人が支払いの対象となるので、妻に譲渡所得が出ても保険料が上がることはありません。

譲渡益が500万円でた場合、国民健康保険料はどれくらい上がる?


会社員の夫の扶養になっている専業主婦が不動産売却をしても、基本的に健康保険料に影響は出ませんが、国民健康保険に加入している場合は保険料に影響が出ます。ここでは、実際に専業主婦が不動産を売却して譲渡益が500万円出た場合に国民健康保険がどの程度上がるかについて解説します。
国民健康保険の場合は、それぞれの自治体によって計算方法が異なるので、あくまで参考程度にはなりますが、ここでは、神戸市のWebサイトに掲載されている国民年金の簡易計算シートをもとに解説していきます。

はじめに結果をお伝えすると、神戸市で、譲渡益が500万円で場合の国民健康保険の保険料は761,100円でした。これを12ヶ月で支払うとなると月々63,425円です。1年間だけとはいえ、やはり保険料が高額になってしまいます。なお、保険料は、医療分、後期高齢者医療分、介護分の合計金額で、それぞれ次のように計算しています。

神戸市の場合の譲渡益を500万円とした場合の項目別の計算方法

・医療
所得割額:5,000,000円-基礎控除430,000円=4,570,000円
均等割分:56,820円
合計:441,150円

・後期高齢者医療
所得割額;4,570,000円×料率2.98%=136,180円
均等分割;19,480円
合計:155,660円

・介護分
所得割額;4,570,000円×料率3.14%=143,490円
均等分割;21,610円
介護分の緩和措置:-810円
合計:164,290円

不動産売却後の保険料が上がらないようにする方法

不動産を売却して保険料が上がらないようにする方法はいくつかあります。
専業主婦である売主が扶養から外れなければ良いという観点から夫に贈与して売却といった方法もあります。
また、親が亡くなり、不動産を相続したようなケースでは、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」を使うことができれば、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除されます。つまり、不動産の売却価格が3,000万円以下なら、控除によって譲渡益が出ない可能性があるということです。特例を利用するには条件を満たしている必要があります。

まとめ

専業主婦が不動産を売却して譲渡益が出る場合、夫が会社員や公務員で健康保険や共済に扶養で入っているなら不動産を売却しても健康保険に影響することは基本的にありませんが、国民健康保険に加入している場合は、翌年の保険料が上がります。国民健康保険の場合、保険料がどの程度上がるかは、事前に確認することができますので、売却する前に確認し、保険料の支払いも含めてどの程度の利益になるか把握しておくことをおすすめします。

不動産を所有していれば、固定資産税がかかりますので、売ること自体は決めているなら、保険料への値上がりを気にして何年も放置するより、早く売却したほうが金銭面でのメリットが大きい可能性があります。不動産会社や税理士などに相談しながら、売却を検討しましょう。

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