不動産売買にはどんな資料があるの?

重要事項説明書とは?

不動産売買契約を行う前に、仲介を行う不動産会社は「宅地建物取引士という資格者が不動産の情報を買主に口頭で説明し、十分理解してもらった上で契約を行なう必要がある」と宅地建物取引業法で定められています。「重要事項説明書」という文書と照らし合わせながら説明をされることが多いです。説明を要する事項はおおむね次のようになっています。

1.登記記録の記載事項

現在の登記記録により、所有者名義は誰か、差し押さえや抵当権などの担保が設定されていないか、所有権の完全な移転ができない記録があるときに、いつどのように抹消、解除をしていくのかを説明します。

2.法令に基づく制限の概要

住宅以外は建てることができない地域である、工場を建てても良い地域である、土砂崩れの警戒区域に入っている、建物は○階建てまで建てることができるなど、法令による制限がどのように及んでいるかを説明します。

3.敷地と道路の関係、私道の負担に関する事項

公の道路から自分の建物敷地に至るまでに他人の土地がある場合には、自由に通行・利用ができません。そこで、公の道路から直接敷地に至ることができるのか、その区画の所有者たちで持ちあうことになっているのか(「共有」と言います)を説明します。持ちあうことになっている場合には、他の利用者のために自分の利用は制限されることになります。

4.飲用水・ガス、電気の供給施設および排水施設の整備状況

水道は井戸水なのか上水道なのか、公設か私設か、ガスは都市ガスかプロパンガスかなどの説明を行ないます。

5.工事完了時における形状、構造など

建築中の建物付きで土地を購入する場合などに、建築図面などを示して、どのような建物が建つのかを説明します。
マンションの場合には、多数所有者がいるため、その利用形態、管理の方法などもあわせて説明します。

6.授受される金銭に関する事項

売買代金の支払方法(手付金の額や最終代金の支払時期や方法)、仲介手数料の額、固定資産税の清算方法などを説明します。固定資産税は毎年1月1日(市区町村役場によっては前年の12月31日としていますが、この両日は法務局が業務を行なっていないので差はありません)の所有者宛に4月1日付で課税されます。

年度途中で課税名義人(納税義務者)の切り替えができないので、引き渡しの日で区分してそれ以降は買主が負担する約定にすることが多いです。日割計算で行いますが、1月1日から起算する地域と4月1日から起算する地域があります。転売する時には同じ起算日で計算しなければならないので、その土地がある地域の慣習に従うことになります。

7.契約キャンセルに関する事項

契約後に事情により契約を解除することがあるため、解約する場合の違約金、損害金、仲介手数料が発生するのか、などの説明をします。

8.手付金などの保全措置の概要

契約時に買主は契約履行の保証のために、代金の一部を手付金として仲介業者に預けることになります。仲介者である不動産会社は、この手付金をどのように管理保全するのかを説明します。

不動産売買契約書とは?

不動産について重要な事項の説明を受け、買主が買う気になれば、後日のトラブルの予防措置として売主との間で「不動産売買契約書」を作成し、合意内容を書面として残します。

売買契約書には、売買の対象となる不動産(私道の持分所有があればそれも含めて)、建物であれば付属する動産(エアコン設備やカーテンや庭木など)が売買の対象となるのかどうか、売買代金の総額、手付金の額と支払時期、最終代金の金額とその支払時期などを記載します。この契約書は仲介業者がいればその業者が作成します。紙で契約書を作成する場合には、収入印紙を貼る必要があります。

この売買契約書は、売買が終わり引き渡しが済んだら用済みとなるわけではありません。

買うときには想像しにくいですが、万が一売った時に取得費を説明する大事な証拠になるため、大事に保管しましょう。不動産を売り、利益が出れば「譲渡所得税」を支払う必要があります。所得に対しての課税であるため、売却代金から必要経費を差し引くことになりますが、この取得費(売買代金)を説明するために必要になるのです。親が買った不動産を子供が相続をして売却する場合に、契約書がないために高く税金を払うケースが見られます。

まとめ

不動産の売買に関連する登記を含めて、基本的な事柄について解説しました。不動産の売買には、ここでは説明していない「譲渡所得税」についても軽減措置があり、控除制度もいろいろと準備されています。

また、買主が自宅を購入したときに都道府県から課税される「不動産取得税」の軽減措置や「所得税」の軽減を受けるための申告など、税金についてもさまざまな手続きが必要です。仲介業者さんや税理士等の専門家によく相談し、後悔のない不動産売買となるようにしましょう。

監修:齋藤祥文
資格:不動産コンサルティングマスター・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士

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