退去費用って何?定義や相場をわかりやすく解説

退去費用って何?定義や相場をわかりやすく解説

賃貸物件を退去する際に予想以上の額を請求されるなど、退去費用について不安になった経験はないでしょうか。実は、退去にかかる費用には、借主が負担する必要のないものもあります。そこで今回は、退去費用の相場や内訳、誰が負担するのか、退去費用を抑える方法や注意すべき特約について詳しく解説します。ぜひ参考にしてみてください。

退去費用の定義

退去費用とは、賃貸物件を退去するときにかかる費用です。退去する際は、部屋を入居時の状態にするために修繕が必要になります。これを原状回復と言います。
賃借人(借主)は、民法(第400条)の規定により「善管注意義務」というものを負っています。「善管注意義務」とは、善良な管理者の注意義務の略で、通常客観的に要求される程度の注意を払う義務のことをいいます。例えば、自分の不注意などで床を汚したり、壁に穴をあけた場合は、善管注意義務違反となり、入居時に預けていた敷金から清算されます。さらにたばこのヤニやキッチンの油汚れなど、明らかに借主の不注意で汚れがひどくなっている場合などは、その分、修繕費用が高くなる場合もあります。敷金を超えでかかった修繕費用は、自己負担で支払わなければなりません。
ただし、経年劣化による壁のシミやカビ、壁紙やフローリングの剥がれなどは、借主が故意に劣化させたわけではないので、修繕費用は貸主負担となります。
賃貸借契約書に「故意・過失問わず借主が負担する」との記載があった場合は、特約により借主負担になります。

退去費用の相場

退去費用は「原状回復のための修繕」と「ハウスクリーニング」に使われます。ハウスクリーニングは、掃除の専門業者が家全体をきれいする清掃作業のことです。特定の場所にのみ依頼するケースもあります。費用相場は、汚損や破損、毀損など、傷の程度や場所によって異なります。また、業者や時期によっても変わってきます。
退去費用の相場は、アトムくん編集部(https://mujin-keiyakuki.net/)の「退去費用に関するアンケート」では次のようになっています。

  • 1R、1K、1DK、1LDK:49,980円
  • 2K、2DK、2LDK:79,924円
  • 3DK、3LDK、4K、4DK、4LDK:90,139円

退去費用の内訳は?

退去費用の内訳は次の通りです。

壁紙の張り替え

壁紙の張り替え費用は、一般的に30,000〜50,000円程度になります。ただし、下地に損傷があると石膏ボードの取り替えが必要になり、さらに費用がかかるケースもあります。

ふすまの張り替え

ふすまの張り替え費用は、品質により幅がありますが、片面でおよそ3,000~4,000円、両面でおよそ5,000~10,000円、高級品であれば25,000円程度のものもあります。

フローリングの張り替え

フローリングの張り替えは、床材、面積、補修の有無などで費用が変わります。飲み物をこぼしてできたシミなど、借主に過失があれば費用を負担しなければなりません。費用の相場は、8,000~50,000円程度と幅があります。

畳の張り替え

畳の張り替えは、畳のグレードや種類、施工方法によっても費用が異なりますが、5,000〜40,000円程度かかります。

網戸の交換

網戸の交換は、本体ごと交換が必要か、網の張り替えのみかによって費用が異なりますが、一般的な窓のサイズであれば、1枚3,000~4,000円程度かかります。

原状回復費用の負担

原状回復費用は誰が負担する?

賃借人(借主)は、民法の規定により原状回復義務を負いますが、この原状回復のための工事・修繕費用は、どちらが負担するか問題となることがあります。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によると、賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧することとなっています。したがって、入居者の故意・過失などの落ち度がない場合は、原状回復義務を負いません。経年劣化、通常損耗の範囲内は貸主が原則負担します。

原状回復費用が借主負担になるケース

入居者の居住や使用によって、原状回復費用は借主負担になります。具体的には次のようなケースです。

クロス・壁紙

落書き、タバコのヤニ、ペットによる汚れや傷は、借主負担になる可能性が高くなります。

フローリング

水漏れの放置やジュースをこぼして適切に対処しなかった場合などは、借主負担になることが多いです。

水回り

手入れを怠った結果、水垢や油汚れ、サビなどが生じた場合は、借主負担になります。

給湯器

給湯器の故障は、借主に落ち度があれば借主が負担することになる可能性があります。給湯器は10万円程度しますので、扱いには十分注意する必要があります。

建具や窓

不注意で破損したり、窓が割れてしまった場合には、借主の負担になります。

鍵を紛失してしまった場合や不注意で破損した場合は、借主の負担となります。

退去費用を抑える方法

退去費用を少しでも抑えるために、次のことを実践してみましょう。

入居時に部屋の状態を確認する

原状回復は、入居時の状態に戻すことです。入居してすぐに、劣化をしている部分や破損箇所があれば、写真を撮っておくと、退去時にトラブルになるのを防ぐことができます。

管理会社に交渉する

原状回復費用を、思った以上に請求されることはよくあります。管理会社に値下げ交渉すると多少の値下げに応じてもらえる可能性もあります。
その際は、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」などを示しながら、説明をするのもひとつの方法です。

可能な限り掃除をする

ホコリやカビ、水アカ、油汚れなど、自分でできる箇所は、きれいに掃除をしておくことが大切です。汚れている部屋ときれいな部屋では印象がまったく異なります。

退去費用で注意すべき特約

賃貸契約を結ぶ際に、契約書に退去費用についての特約が記載されていることがあります。特約は借主にとって不利なケースが多くあります。よくあるのは次の2つです。

ハウスクリーニングの特約

前述の通り、ハウスクリーニングについては特約で記載されていることがよくあります。しかし、具体的な金額や負担する範囲が賃貸借契約書に記載されていなければ、無効とみなされる可能性もあります。

通常損耗の範囲内の特約

通常損耗とは、通常の生活を送るうちに生じた傷みや汚れのことです。こまめに掃除を行い、注意を払って生活していた上でついてしまった傷みや汚れに関しては、借主に修繕費用を支払う義務はありません。契約書に「通常損耗の修理費用は入居者が負担する」と記載のある場合がありますが、通常損耗は原則として貸主の負担なので注意しましょう。また、経年変化も考慮されます。壁紙などは、通常、居住年数が多いほど負担割合が減少します。
国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、特約の有効性について次の要件を示しています。

【賃借人(借主)に特別の負担を課す特約の要件】

  • 特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的・合理的理由が存在すること
  • 賃借人が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること
  • 賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること
  • 敷引き特約

敷引き特約とは、退去時に敷金の一部を返還しない特約を言います。敷引き特約の有効性については、信義則に反し、消費者の利益を一方的に害するのであれば無効となる可能性があります。
詳細は、最高裁の判決に記載されています。
(参考:裁判所「裁判例検索」最判平23.3.24敷金返還等請求事件)
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=81180

退去の際は、契約書の確認を

今回は、退去費用について詳しく解説しました。退去時の原状回復費用は、トラブルに発展するケースが多くあります。借主は、国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」をしっかり読んだ上で、故意・過失、善管注意義務違反がなかったかどうかを把握しておくことが大切です。
また、賃貸借契約書の特約に具体的な金額や負担する範囲が明確でなければ、その特約は無効になる可能性もあります。ガイドラインや賃貸借契約書を確認しながら、不当に請求されないように対策しておきましょう。

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